35番は清滝寺、きよたきじです。
34番札所から車で20分ちょっとですが。
最後、とんでもない急坂が待っていました。
高知市を出て、土佐市にあります。
着いたら、団体の参拝者がいました。
正直、団体の参拝者がいるとがっかりします。
タイミングが悪いと、納経でひどく待たされるからです。
団体の場合、先達(せんだつ)と呼ばれる人と。
旅行会社の添乗員がいます。
先達さんが寺を案内、説明したり、読経を先導したり。
その間に添乗員さんが、団体客全員分の納経を請け負います。
納経所に一人しかいなくても。
大量に納経帳が置かれていることがあるのです。
2周目以上の方は、御朱印を押すだけですが。
自分たちのように1回目の人は文字も書いてもらいます。
なので、団体さんに初心者の方が多いと。
それだけ、待つ時間も多くなるわけです。
(何度も訪れている方の納経帳は、御朱印で真っ赤になってます。
どこが何回目か、もう御本人にも分からないと思われます)
果たして、ここでは大量に納経を待つことになりました。
でも、ここに関しては、それが嬉しい誤算となりました。
納経を待っている間に、次に並ばれたご老人が声をかけてきました。
「横浜の方ですか?」
そうですと答えると、「ああ、あの赤い車の方だ」と。
その方は、34番札所でお見かけしたバイクの福山さんでした。
(お名前は不明なので、便宜的にナンバープレートでお呼びします)
待っている間に、お話を聞かせて頂くことができました。
福山さんの納経帳が年季が入っていたので。
「何回も回られているのですか?」と尋ねると。
「6周目」とのことでした。
さらに続けられた言葉が
「74(歳)の時にバイクの免許を取って、それから…」
はい?
「失礼ですが、おいくつなんですか?」
「今、81です」と。
御年81歳で、福山から650ccのオートバイで高知まで。
日帰りで往復600kmほどを走られるそうです。
この清滝寺の急坂も、大きな単車を操って…。
「すごいですね・・・。」
陳腐な言葉しか出ませんが、本当に凄い方でした。
奥様を亡くされた後、免許をお取りになって。
ご供養に八十八ヶ所巡りを始めて、現在6周目。
そのほとんどは、泊を伴わず、福山から日帰りで来られるそうです。
この日は、次の36番さん(青龍寺)まで回られるとか。
人生でも、お遍路参りでも大先輩の福山さんに尋ねました。
「何回も回られていて、印象に残っているお寺はどこですか?」
福山さんは、75番の善通寺だと仰っていました。
弘法大師様と結縁できる場所があるのだとか。
真っ暗の中を歩くと教えてくれました。
また、次に行く青龍寺は、階段が多くて大変だと。
そういう心づもりがあるのとないのとでは大違い。
大変ありがたいご助言でした。
ようやく納経が終わり、自分が車を出そうとするとき。
福山さんは椅子に座って簡単なお食事を取られるところでした。
ちゃんとご挨拶できなかったのがやや心残りだったのですが…。
0 件のコメント:
コメントを投稿